ひだまり通信 52号
〇養生訓〇
『養生訓』という著書をご存知でしょうか?『養生訓』は、貝原益軒という儒学者(哲学者)が“人生五十年”とい われた江戸時代に 84 歳まで生き、その亡くなる前年に健康長寿の方法として記した著書です。300 年も前に 出版された本でありながら、近年でも現代語訳や解説本などが出版されている大ベストセラー作品です。 貝原益軒は幼いころから病弱な体質でしたがこの養生を実践し、「夜細字をかきよみ、牙歯固くして一もおち ず」とあるように、この本を執筆した 83 歳まで虫歯一本もなかったそうです。 もちろん江戸時代と現代では生活様式も違うのでそのまま参考にできるものばかりではないかもしれません が、現代でも参考になる養生法もあるのではないでしょうか。 今回その中でおもしろいものを一部ご紹介したいと思います。
●唾液と痰
唾液は呑みこむのがよく吐いてはいけない。痰は吐くべきで呑んでは害になる。痰があったら紙で取るよ うにして、遠くへ吐かないこと。
痰を吐くときは軽く吐いて、力を入れすぎて気をもらしてはいけない。酒を多く飲めば痰ができ、気をのぼら せ唾液をへらす結果になる。
●口を閉じて寝る
夜寝るとき、寝巻きで顔をおおってはいけない。気をふさいで、上気してのぼせる。また寝るときに灯をつ けたままではいけない。精神の安静が得られないからである。もしつけるならば、灯を細くしておおっておく がよい。眠るときは口をよく閉じること。口を開けたままで寝ると、真気をへらし、歯が早くぬけるのである。
●歯の養生
毎日ときどき歯を三十六回くらいかちかち噛みあわすのがよい。そうすると歯が固定して虫歯にならず、歯 の病気にかからない。
●目をつむって落ちつく 用事がなければ目を開かないほうがよい。
●入浴と洗髪 空腹時に入浴してはいけない。満腹のときに洗髪してはいけない。
この他にも、食事の取りかたから心の持ちかた、入浴時のたらいの大きさまで事細かに日々の過 ごしかたが記されています。普段の養生習慣として是非参考にされてみてはいかがでしょうか?
参考:『養生訓』全現代語訳 伊藤友信 訳